聞いてる方は勿論、話してる方もうんざりしてるんだけど、かといって他に話すこともないので、お互いにうんざりしながらもついつい賞味期限の切れた話題をだらだらと喋ってしまうということがよくある。
かく言うおれもよくやってしまう。
そんな時、本当はどうするべきなのかということくらいはおれにもわかってて、それは無駄な抵抗は一切あきらめてしまって黙り込むということなのだが、わかっていても実践に移すことはなかなか難しいものだ。
黙り込んだ後になかなか次の話題が提供されないでいると何となく居心地の悪さを感じてしまって、結局はまた前の話をループさせてしまう。
昔、ある人と喋っていて、やっぱり同じように何となく会話が停滞してしまったことがしばしばあった。
そんな時にその人がいつも言ってたことだけど、会話が途中で途切れてしまうことをどこかの国では「天使が通る」と言うらしい。
天使が間を通ってるから喋れなくなってしまうのだとか何とか、そんな説明をしてた。
そんな話を聞くと沈黙も何となく心地良く、またどちらともなく話が始められるまでの時間をのんびり過ごすことができた。
たとえ今日話しそびれたことがあっても明日また話せばいいし、明日には話すことを忘れてしまったとしてもそのうちまたいつか思い出すだろうという感じだった。
それはその人の持っている雰囲気によるところが大きくて、おれもああいう喋りができるようになれればいいなあと思っていたけど、よく考えてみればおれは天使がどうこう言うようなキャラではないし、ああいう空気は持って生まれたものだから真似をしても仕方ない。
そんなわけで、やはりおれは「気まずい沈黙に耐えていくか」「くだらない話を空転させていくか」という2択を選ばざるを得ないわけで、そして大抵は後者の誘惑に屈してしまう。
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