今年一番の冷え込みでした、とテレビが言っている。
どおりで指先までかちかちに冷えるわけだ。
凍るような朝焼けの後、毛布の中で身体をぎゅっとちぢこめているともう一度眠たくなる。
時々、人生を助手席に乗ったまま過ごしているような気持ちになる。
流れていく景色、点滅するウィンカー、表示される渋滞情報、時折求められる意見。
「高速には乗らない方がよさそうかな?」
運転手のためにコーヒーの蓋を開ける、そして閉める。
ガムの包み紙を開く、そしてガムを吐き出す時までそれを持っている。
何度でも考えなければならない。
意味や理由や、価値や無価値について、調べたり、考えたり、作ったりしなければならないと思う。
逃げたり追ったり、戦ったりかわしたりするために、考えなければならないと思う。
生きたいかそうでないかのどちらかだと思っていた。
でも今はもう少し考えなければならないと思う。
時々、先が明るすぎて途方に暮れてしまう。
明るすぎるのは何も見えないのとよく似ている上に、どこか脅迫的だ。
幸福でなければならない、と言われている気がする。
不幸になる理由はないのだからと縫い付けられて、自分から息を止めていた。
おれは不幸でも幸福でもなかったが孤独だった。
身体中が冷たくて、息を止めながら、どうやって息をすればいいのか考えていた。
試すのは怖かった。
誰もいいと言ってくれなかったし、そもそもいいのかどうかを聞くこともできなかったから。
助手席に座ってどんどん進む景色を見ながら、誰もいない運転席を知った。